海外旅行で熱が出たとき
海外旅行中に熱が出ると困るのは、少し休めばいいのか、それとも病院に行ったほうがいいのかが分かりにくいことです。
旅行中の発熱には、よくある風邪のようなものもあります。その一方で、渡航先によってはマラリアやデング熱のように、早めに受診を考えたい感染症が含まれることもあります。
この記事では、病気の細かい説明よりも、いま受診を考えたほうがよい状態かどうかを中心に整理します。
発熱以外も含めた受診の考え方をまとめて見たい方は、こちらの記事も参考になります。
発熱の受診目安
大きく分けると、目安は次の3つです。
様子を見てもよいことが多い
まずは休んで、悪化してないか、回復してきているかを見たい段階です。
- 水分がとれている
- 少しでも食事が入る
- 意識ははっきりしている
- 息苦しさがない
- 症状が強くなっていない
早めに受診したい
救急ではなくても、その日のうちか翌日には受診できるようにしておきたい段階です。
- 熱が続く
- だるさが強い
- 吐き気や下痢が続いて、水分がとりにくい
- 咳が強い、胸が痛い
- 強い頭痛がある
- 発疹がある
- 旅行を続けるのが難しそう
急いで受診したい
無理に様子を見ず、できるだけ早く受診したいサインです。
- 呼吸が苦しい
- 意識がぼんやりする
- 水分がほとんどとれない
- ぐったりして動けない
- 出血がある
- 強い腹痛
熱の高さも重要ですが、飲めるか、動けるか、意識がはっきりしているかを一緒に見ると判断しやすいです。
様子を見てもよいことが多いケース
発熱があっても次のような状態なら、少し休んで経過を見ることも現実的です。
- 水分がとれている
- 食事が少しでも入る
- 強い頭痛や息苦しさがない
- 症状が悪化していない
- 横になると少し楽になる
このくらいで悪化する気配がないなら、水分をこまめにとる、部屋で安静にしておく、という対応でも大丈夫なことがあります。
ただ、海外では移動や暑さ、寝不足、脱水が重なって、普段より体調が崩れやすい環境になりやすいです。「まだ何とか動ける」ではなく、「この先悪くなりそうか」で見るのが大事です。私なら1日ほど様子を見て、悪化してきたり新しい症状が出るなら、受診するかを考え始めます。
早めに受診したいケース
次のようなときは、それ以上何日も様子を見続けようとせず、その日か翌日には受診を考えておきたいです。
一般的な風邪では、熱、鼻水、のどの痛み、軽い咳などがよく見られます。それ以外の症状がはっきりあるときは、別の病気も含めて考えたほうがよいことがあります。
熱が続く
一時的な発熱ではなく、翌日以降も下がらない。いったん下がっても、またぶり返す。そんなときは、様子見だけで引っぱらないよう注意しておきましょう。特にマラリアなどの流行地域では、万が一を考えて早めに診てもらった方が安心です。
強いだるさがある
寝不足や疲れだけでは説明しにくいだるさがあるときは、少し注意して見ておきたいです。
熱があると、気だるくなることは珍しくありません。しかし、ベッドから起きるのもつらい、少し歩くだけでもきつい、というような強いだるさがあるなら、早めに受診を考えておいたほうがよいです。
水分をとりにくい
発熱しているときは、こまめに水分をとりたいところです。ただ、それがうまくできないときは注意が必要です。
のどや口の中が渇いている感じがあるのに、吐き気、下痢、腹痛、強いだるさなどでうまく飲めない。そうした状態が続くと、脱水につながることがあります。水分をとりにくい状態が続くときは、早めに受診を考えた方がよいです。
発疹、強い頭痛、強い咳、胸の痛みがある
咳が強い、胸が痛い、発疹があるなど、熱以外の症状が増えるほど、受診する方向で考えたほうが安心です。
とくに、発熱に発疹が重なる、目の奥が痛い、関節痛や筋肉痛が強い、強いだるさがあるときは、流行地域ではデング熱なども頭に置いて、早めに対応するサインとして見ておきたいです。
急いで受診したいケース
次のようなときは、様子を見ようとせず、その日のうちに受診したいです。
状況によっては、宿の人や周囲に助けを求めて、タクシーなどが来るまで人がいる場所で待機しましょう。
- 呼吸が苦しい(息がしづらい、胸が苦しい、横になってもつらい)
- 意識がぼんやりする(受け答えがいつもと違う、反応が鈍い、自分でも少しおかしい感じがする)
- 水分がほとんどとれない(吐いてしまう、飲んでもすぐ戻してしまう状態が続く)
- ぐったりして動けない(立ち上がるのも難しい、動くのがかなりつらい)
- 出血がある(鼻血、歯ぐきからの出血、血便、黒っぽい便、吐いたものに血が混じる)
- 強い腹痛がある(冷や汗が出る、じっとしていられない)
マラリア・デング熱流行地域での発熱
ここは、旅先によって考え方が少し変わります。
マラリアやデング熱が流行している地域では、発熱を「ただの風邪かも」で長く様子を見すぎないほうがよいです。とくに、一般的な風邪症状だけではない場合は、まず受診する方向で考えるくらいでよいと思います。
たとえば、こんなときです。
- 発熱がぶり返す
- 目の奥が痛い
- 関節痛や筋肉痛が強い
- 発疹がある
- だるさがかなり強い
- 吐き気が強い
- 出血がある
もちろん、こうした症状があるからといって、必ず特定の病気とは限りません。ただ、旅先では自分で見分けようとするほど判断が難しくなります。私なら、流行地域での発熱に、風邪っぽさ以外の症状が重なった時点で、早めに相談するくらいで考えます。
渡航先でどの感染症に注意したいかは、出発前に確認しておくと迷いにくいです。
国や地域ごとの感染症危険情報は、外務省の海外安全ホームページで確認できます。
あわせて、感染症の内容や渡航先ごとの情報は、FORTH の「海外渡航者向け」や「国・地域別情報」が見やすいです。
※感染症危険情報や渡航先情報は変わることがあるため、出発前に最新確認が必要です。
受診で伝えたいこと
海外でも日本に帰ってからでも、受診するときは次の内容があると話が早くなります。
- いつから熱があるか
- 最高体温はどれくらいか
- 発熱、解熱の変化のしかた
- ほかにどんな症状があるか
- 行った国や地域
- いつ帰国したか、またはいつから滞在しているか
- 虫に刺されたか
- 生水や生ものを口にしたか
- 持病や服薬中の薬
自分では些細に思っても、診断の手がかりになることがあります。受診前にメモしておくと、かなり伝えやすくなります。
FORTH には、「旅行後診察用 医療機関受診前のチェックリスト」があります。旅行先、旅行期間、現在の体調、虫刺され、食事や水、現地での治療歴などを整理できる内容なので、必要な方にはかなり実用的です。
まとめ
海外旅行中に熱が出たときは、体温だけで判断するより、
- 水分がとれるか
- 食べられるか
- 動けるか
- 意識がはっきりしているか
- 危ないサインがないか
- このまま旅行を続けられそうか
を一緒に見ると、受診の目安がつかみやすくなります。
とくに、流行地域での発熱、発熱に発疹や強い頭痛、強いだるさ、出血が重なるときは、長く様子を見すぎないほうがよいです。
旅先では、「せっかく来たから」と無理をしたくなりがちだと思います。でも、早めに相談したほうが結果的によい場合も多いです。迷うときは無理に見極めようとせず、受診する方向で考えると安心です。
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参考情報
・外務省 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/
・厚生労働省検疫所「FORTH(海外で健康に過ごすために)」
https://www.forth.go.jp/index.html
・FORTH 旅行後診察用 医療機関受診前のチェックリスト
https://www.forth.go.jp/useful/attention/pdf/29.pdf




