あの頃の自分に届けたい、旅の処方箋

 

海外旅行に行きたい気持ちはあるのに、
体調のことや準備のことを考えると、
少し足が止まることがあります。

 

現地で熱が出たらどうしよう。

薬は何を持っていけばいいんだろう。

保険は入った方がいいのかな。

気持ちが落ちたとき、どうしたらいいんだろう。

 

このブログでは、旅する薬剤師 ボンディオラ が、
旅先で感じやすい不安を、
医療目線も交えながらやさしい言葉でまとめています。

 

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リスク管理

海外旅行の予防接種、本当に全部必要?|旅の条件で優先順位を決める考え方

2026年3月4日

出発前の迷い

世界一周に出発する前、私は予防接種についてかなり調べました。すると、想像以上に多くのワクチンが並んでいて、正直かなり焦りました。「必要」と書かれているものを見ていると、理由も納得できるし全部そろえたくなる。私はわりと、そういうふうに考えてしまうタイプです。

でも実際には、ワクチンは種類によって接種回数も間隔も違ってきます。時間も費用もかかるし、何より、考えているうちに出発日が近づいてきます。

そこで一度立ち止まって考えたのが、全部打つかどうかではなく、自分の旅では何を優先するかということでした。


予防接種は旅の条件で変わる

ここでまず触れておきたいのは、ワクチンを受けても、旅の不安が全部なくなるわけではないということです。

旅の感染リスクは、行き先や目的、期間によって大きく変わります。
農村部に入るか、動物と接触する可能性があるか、もし体調を崩しても病院にすぐ行ける場所か。そういった条件が重なるほど、準備の中身も変わってきます。

時間や費用の都合もあるし、全部は難しいこともあります。私もそうでした。


優先順位の決め方

受ける予防接種をしぼる必要がある場合は、旅の条件を少し具体的にしてみると、優先順位がつけやすくなります。

行き先で変わること

まず大きいのは、どの地域に行くかです。
南米なのか、アフリカなのか、東南アジアなのか。都市中心なのか、奥地まで行くのか。
同じ国でも、行く場所によって考え方が変わってきます。

黄熱病のように体を守るだけでなく、入国や搭乗手続きに関わるものもあります。そうしたワクチンは、迷ったときでも優先順位を上げざるを得ない場合があります。

行動で変わること

何をする旅なのかでも、考え方は変わります。
都市中心の観光なのか、バックパッカー旅なのか。農村部への移動があるのか、トレッキングをするのか。動物に近づく可能性があるのか、医療アクセスが悪い場所まで行くのか。
旅のスタイルが違うだけでも、気にしたい感染症は変わってきます。

予定がまだ曖昧なときは、「念のため全部やっておきたい」という気持ちが膨らみやすいです。大体のルートや、やりたいアクティビティが少し具体的になると、優先したいものは見えやすくなります。

滞在期間で変わること

旅の長さによっても同様で、数日の旅と数か月の旅とでは、出会うリスクの種類も機会も異なります。
長くなるほど都市部以外に足をのばす場面が増え、トラブルや予定外の移動も起きやすい。そのぶん、優先順位も自然と変わってきます。


出発までの日数

ここは見落としやすいですが、かなり大事な点です。

ワクチンの中には、1回で終わらないものがある、ということです。
「何週間あけて2回目」「さらに期間をあけて3回目」など、相当な準備期間が必要なものも少なくありません。出発が近いと、全部を理想どおりに進めるのは難しいこともあります。

でも、時間が足りないから何もしない、というのは少し違う気がします。出発までの日数がわかっていれば、今からでも「何を優先したいか」「ここまではやっておきたい」という目安を相談しやすくなります。

完璧を目指すというより、限られた時間の中でどう組んでいくかを考えるほうが、旅の準備にはなじみやすいと思っています。


受けたワクチン

ここからは、私が世界一周前に実際にどう優先順位をつけたかを書きます。
すべての旅にそのまま当てはまるわけではありませんが、行き先や旅のスタイルに合わせて考えるときの一例として見てもらえたらと思います。

私は最終的に、黄熱病、A型肝炎、破傷風を受けました。狂犬病も受けたかったのですが、当時の私には受けられませんでした。

黄熱病

南米とアフリカへの渡航を予定していたので、黄熱病は優先しました。

これは後から「本当に打っておいてよかった」と感じたワクチンです。実際に、渡航ルートの関係で証明書の提示を求められたことがありました。

A型肝炎

A型肝炎は、衛生環境が気になる地域に行く予定があったので受けました。

ただ、出発までに時間が足りなかったので、2回目まで受けて出発しました。できれば3回目も受けたかったのですが、その時点でできるところまで進めた形です。

破傷風

破傷風も、念のために受けておきました。

トレッキングなどのアウトドアではもちろん、観光中の街歩きでも、転倒や切り傷を完全に防ぐことはできません。「何かあったときに、接種歴のことで余計な不安を持ちたくない」という気持ちがありました。

狂犬病

狂犬病も受けたかったのですが、当時は流通などの関係もあり、受けられませんでした。
この経験もあって、行き先や旅のスタイルによっては、早めに相談しておく方がよいワクチンだと思っています。


出発までに全部そろわないときは

出発前の準備では、「中途半端なら意味がないのでは」と思ってしまうかもしれません。
でも実際には、私のように全部が理想どおりに進まないことはあります。

大事なのは、できなかったことを気にし続けることより、限られた条件の中で、何を優先したかを自分で納得しておくことだと思います。
たとえば、このような順で考えると見通しが立ちやすくなります。

  • 証明書が必要になるものを先に確認する
  • 自分の旅程で優先度が高そうなものから考える
  • 出発までの日数の中で、進められるところまで進める

「全部できなかった」と不安に思うよりも、「自分はここまで対策したんだ」と前向きに考えた方が、気持ちが落ち着きやすいです。対策した分、感染リスクは低下しているはずです。


相談先を知っておく

ここまで整理しても、「では実際、自分の旅では何が必要なのか」で迷うことがあると思います。そんなときは、ひとりですべて決めようとしなくても大丈夫です。

旅程を持ってトラベルクリニックなどに相談すると、自分の旅に合ったアドバイスをもらいながら、予防接種まで一緒に進めやすくなります。相談できる場所を知っておくだけでも、かなり気持ちが軽くなります。


まとめ

世界一周前の私も、「どこまで準備しておけばいいんだろう」と考えていました。でも現実には、時間もお金も限られている。だからこそ大事なのは、全部そろえるのではなく、納得して選ぶことだと思っています。

行き先、滞在期間、旅のスタイル、出発までの日数。そういう条件を見ながら、自分の旅に必要なものを優先していくほうが、無理なく考えやすいし現実的です。
不安をゼロにすることはできないけれど、自分で納得して選んだという感覚は、旅の大きな安心感につながります。


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ボンディオラ


調剤薬局の薬剤師として働きながら、一人旅を中心に80か国ほどを訪れてきました。

このブログでは、旅の楽しさだけでなく、体調、準備、不安、旅先での気持ちの揺れについても、旅する薬剤師の視点からやわらかく書いています。