下痢はわりと起こりやすい
ニカラグアのグラナダでのことです。
朝、目が覚めた瞬間に違和感がありました。
胃なのか腸なのか分からない場所が、周期的に痛む。
数分で終わる痛みではなく、引いては押し寄せてくる感じでした。
嫌な予感がしました。
寝汗がひどかったのでシャワーを浴びていると、不運なことに突然の断水。
頭が泡だらけのまま待っているうちに腹痛が強くなって、下痢が始まりました。
やむを得ず、ペットボトルの飲み水で最低限だけ泡を流して、トイレにこもることになりました。
その日は別の街への移動日でしたが、さすがに延期。
レセプションに相談して、2泊延長しました。
動けないほどではなかったので、スーパーで水とシリアルを買って、静かに回復を待ちました。
幸い、翌々日には移動できるところまで戻りました。
海外で下痢になることは、珍しいことではありません。
でも、いざ自分がなると、少し休めばいいのか、病院に行ったほうがいいのかが分かりにくいんですよね。
この記事では、それらの目安を整理していきます。
気にするポイント
下痢をしたとき、私はまずこのあたりを見ます。
- 水分がとれているか
- 血便がないか
- 発熱がないか
- 強い腹痛が続いていないか
- ひどい倦怠感がないか
- トイレまで自分で行けるか
- 立ったときのふらつきが強くないか
- 半日から1日で少しでも落ち着く感じがあるか
下痢そのものより、飲めるか、トイレまで行けるか、ふらつきがないか、痛みが普通の下痢より強いかを一緒に見ると判断しやすいです。
様子見が可能なケース
発熱がなくて、水分がとれていて、血便もない。
腹痛も耐えられないほどではなく、意識もはっきりしている。
こういう状態なら、まずは休みながら様子を見るというのも現実的です。
旅行中の軽い下痢は、少し休むことで落ち着いてくることもあります。
私なら、水が飲めるか、発熱がないか、血便はないか、悪化はないかをひとつの目安にします。
ここで大事なのは、無理に動き続けないことです。
「予定はあるけど、今日は少し休んだほうがよさそう」と判断できるだけでも、かなり違います。
早めに受診したいケース
下痢の多くは、休んでいるうちに落ち着くこともあります。
でも、次のようなサインがあるときは、様子見だけで引っぱらないほうがよいです。
- 発熱がある
- 腹痛が続く
- 便に血が少し混じる
- 吐き気や下痢が続いて、水分が入りにくい
- 尿が少ない
- 立ちくらみがする
- 2〜3日たっても改善の兆しがない
ここは、「何回トイレに行ったか」だけで決めるより、
飲めるか、トイレまで行けるか、ふらつきが強くないか、数日で良くなっているかを一緒に見ると判断しやすいです。
急いで受診したいケース
次のような状態なら、早めに受診というより、急いで受診を考えたいです。
- 水のような下痢が何度も続いて、脱水が心配なとき
- 水分がほとんどとれない
- ぐったりして動けない
- 意識がぼんやりする
- 動けないほど腹痛が強い
- 血便がはっきり分かる
- 高熱に悪寒が重なる
かなり水っぽい便が何度も続くときは、重い感染症も含めて考えたほうがよい場合があります。
ここで大事なのは、病名をその場で当てることではありません。
危ないサインがあるなら、病名を考え込むより先に受診することです。
薬より優先すること
下痢になると、つい「何の薬を飲むか」に意識が向きます。
でも、最初に大事なのは、薬よりも脱水を防ぎながら、胃腸を休ませることです。
- 水分をこまめにとる
- 食べられそうなら、無理のない範囲で軽いものを少し
- 脂っこいものや刺激の強いものは避ける
- 無理に観光や移動を続けない
このあたりを優先するだけでも、かなり違います。
経口補水液があればいちばんよいですが、海外ではすぐ手に入らないこともあります。
そういうときは、水だけでも少しずつ飲めるならずっとよいですし、電解質を補給できるスポーツドリンクのようなものがあればベターです。
止瀉薬と整腸剤
薬を飲むかどうかは、このあたりが迷いやすいところだと思います。
止瀉薬は、いつでも使えばいいわけではない
ロペラミドのような止瀉薬(下痢を止める薬)は、症状を抑えるための薬です。
トイレの回数を減らしたい場面では役立つことがあります。
ただ、高熱があるときや血便があるときは、自己判断で使わないほうがよいです。
感染性の下痢では、腸の動きを無理に止めることで、原因によっては回復を遅らせたり、悪化のきっかけになることがあります。
私は、軽い下痢なら、まず水分と休養を優先します。
どうしても移動しないといけない場面などを除けば、無理に止めるより、まず落ち着くのを待つことが多いです。
整腸剤は、普段使っている人なら持っていてもよい
整腸剤(お腹の調子を整える薬)については、普段から使っていて自分に合っている人なら、持っていてもよいと思います。
ただ、ひどい下痢を一気に落ち着かせる薬というより、あれば少し落ち着く人もいるくらいに考えておくほうが自然です。
常備薬の記事でも書いたように、ここも「自分に合うかどうか」が大きいです。
抗生剤は「お守り」ではない
長期旅行だと、抗生剤を持っていきたくなる人もいます。
不安な気持ちはよく分かります。
ただ、私は基本的に、自己判断で使う前提の抗生剤はおすすめしません。
理由はシンプルで、
- 原因が細菌かどうかは自分では分かりにくい
- ウイルスや寄生虫には効かない
- 副作用や薬剤耐性の問題がある
からです。
持つとしても、医師と相談したうえで、どういうときに使うのかまで含めて決めておく必要があります。
抗生剤は、持っていれば安心な薬ではありません。
重症のサインを知っておく
海外旅行と聞くと、
「赤痢やコレラは大丈夫?」
と心配になる方もいるかもしれません。
もちろん、そうした感染症がゼロとは言えません。
ただ、ここで大事なのは、病名をたくさん覚えることよりも、
- 血便がある
- 発熱を伴う
- 水のような下痢が何度も続く
- 脱水が強い
- 強い腹痛が続く
こうした重症のサインを知っておくことです。
病名を怖がるより、どこまで様子を見てよくて、どこから受診するかの線引きがあるほうが、旅先ではずっと役に立ちます。
まとめ
海外で下痢になることは、珍しいことではありません。
でも、いざ自分がなると、すごく心細いですよね。
だからこそ、まず持っておきたいのはこの3つです。
- 発熱がなく、水分がとれていて、血便や強い腹痛がなければ、まずは休んで様子を見ることもある
- 水分があまりとれない、発熱がある、便に血が混じる、腹痛が続くときは、早めに受診を考える
- 水のような下痢が何度も続いて脱水気味、ぐったりして動けない、意識がぼんやりするなら、急いで受診を考える
私自身、旅の中で何度かお腹をこわしました。
そのたびに思うのは、薬をたくさん持つことより、判断の目安があることのほうが頼りになるということです。
下痢はそれほど特別なことではありません。
でも、侮らないほうがよい症状でもあります。
無理に動き続けるより、休む。
危ないサインがあれば、早めに相談する。
そのくらいの考え方で十分です。
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