あの頃の自分に届けたい、旅の処方箋

 

海外旅行に行きたい気持ちはあるのに、
体調のことや準備のことを考えると、
少し足が止まることがあります。

 

現地で熱が出たらどうしよう。

薬は何を持っていけばいいんだろう。

保険は入った方がいいのかな。

気持ちが落ちたとき、どうしたらいいんだろう。

 

このブログでは、旅する薬剤師 ボンディオラ が、
旅先で感じやすい不安を、
医療目線も交えながらやさしい言葉でまとめています。

 

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体調管理

海外旅行で発熱したら?風邪か迷うときの受診の目安と危ないサイン

2026年3月4日

海外旅行で熱が出たとき

海外旅行中に熱が出ると困るのは、少し休めばいいのか、それとも病院に行ったほうがいいのかが分かりにくいことです。

旅行中の発熱には、よくある風邪のようなものもあります。その一方で、渡航先によってはマラリアやデング熱のように、早めに受診を考えたい感染症が含まれることもあります。

この記事では、病気の細かい説明よりも、いま受診を考えたほうがよい状態かどうかを中心に整理します。

発熱以外も含めた受診の考え方をまとめて見たい方は、こちらの記事も参考になります。


発熱の受診目安

大きく分けると、目安は次の3つです。

様子を見てもよいことが多い

まずは休んで、悪化してないか、回復してきているかを見たい段階です。

  • 水分がとれている
  • 少しでも食事が入る
  • 意識ははっきりしている
  • 息苦しさがない
  • 症状が強くなっていない

早めに受診したい

救急ではなくても、その日のうちか翌日には受診できるようにしておきたい段階です。

  • 熱が続く
  • だるさが強い
  • 吐き気や下痢が続いて、水分がとりにくい
  • 咳が強い、胸が痛い
  • 強い頭痛がある
  • 発疹がある
  • 旅行を続けるのが難しそう

急いで受診したい

無理に様子を見ず、できるだけ早く受診したいサインです。

  • 呼吸が苦しい
  • 意識がぼんやりする
  • 水分がほとんどとれない
  • ぐったりして動けない
  • 出血がある
  • 強い腹痛

熱の高さも重要ですが、飲めるか、動けるか、意識がはっきりしているかを一緒に見ると判断しやすいです。


様子を見てもよいことが多いケース

発熱があっても次のような状態なら、少し休んで経過を見ることも現実的です。

  • 水分がとれている
  • 食事が少しでも入る
  • 強い頭痛や息苦しさがない
  • 症状が悪化していない
  • 横になると少し楽になる

このくらいで悪化する気配がないなら、水分をこまめにとる、部屋で安静にしておく、という対応でも大丈夫なことがあります。

ただ、海外では移動や暑さ、寝不足、脱水が重なって、普段より体調が崩れやすい環境になりやすいです。「まだ何とか動ける」ではなく、「この先悪くなりそうか」で見るのが大事です。私なら1日ほど様子を見て、悪化してきたり新しい症状が出るなら、受診するかを考え始めます。


早めに受診したいケース

次のようなときは、それ以上何日も様子を見続けようとせず、その日か翌日には受診を考えておきたいです。

一般的な風邪では、熱、鼻水、のどの痛み、軽い咳などがよく見られます。それ以外の症状がはっきりあるときは、別の病気も含めて考えたほうがよいことがあります。

熱が続く

一時的な発熱ではなく、翌日以降も下がらない。いったん下がっても、またぶり返す。そんなときは、様子見だけで引っぱらないよう注意しておきましょう。特にマラリアなどの流行地域では、万が一を考えて早めに診てもらった方が安心です。

強いだるさがある

寝不足や疲れだけでは説明しにくいだるさがあるときは、少し注意して見ておきたいです。

熱があると、気だるくなることは珍しくありません。しかし、ベッドから起きるのもつらい、少し歩くだけでもきつい、というような強いだるさがあるなら、早めに受診を考えておいたほうがよいです。

水分をとりにくい

発熱しているときは、こまめに水分をとりたいところです。ただ、それがうまくできないときは注意が必要です。

のどや口の中が渇いている感じがあるのに、吐き気、下痢、腹痛、強いだるさなどでうまく飲めない。そうした状態が続くと、脱水につながることがあります。水分をとりにくい状態が続くときは、早めに受診を考えた方がよいです。

発疹、強い頭痛、強い咳、胸の痛みがある

咳が強い、胸が痛い、発疹があるなど、熱以外の症状が増えるほど、受診する方向で考えたほうが安心です。

とくに、発熱に発疹が重なる、目の奥が痛い、関節痛や筋肉痛が強い、強いだるさがあるときは、流行地域ではデング熱なども頭に置いて、早めに対応するサインとして見ておきたいです。


急いで受診したいケース

次のようなときは、様子を見ようとせず、その日のうちに受診したいです。
状況によっては、宿の人や周囲に助けを求めて、タクシーなどが来るまで人がいる場所で待機しましょう。

  • 呼吸が苦しい(息がしづらい、胸が苦しい、横になってもつらい)
  • 意識がぼんやりする(受け答えがいつもと違う、反応が鈍い、自分でも少しおかしい感じがする)
  • 水分がほとんどとれない(吐いてしまう、飲んでもすぐ戻してしまう状態が続く)
  • ぐったりして動けない(立ち上がるのも難しい、動くのがかなりつらい)
  • 出血がある(鼻血、歯ぐきからの出血、血便、黒っぽい便、吐いたものに血が混じる)
  • 強い腹痛がある(冷や汗が出る、じっとしていられない)

マラリア・デング熱流行地域での発熱

ここは、旅先によって考え方が少し変わります。

マラリアやデング熱が流行している地域では、発熱を「ただの風邪かも」で長く様子を見すぎないほうがよいです。とくに、一般的な風邪症状だけではない場合は、まず受診する方向で考えるくらいでよいと思います。

たとえば、こんなときです。

  • 発熱がぶり返す
  • 目の奥が痛い
  • 関節痛や筋肉痛が強い
  • 発疹がある
  • だるさがかなり強い
  • 吐き気が強い
  • 出血がある

もちろん、こうした症状があるからといって、必ず特定の病気とは限りません。ただ、旅先では自分で見分けようとするほど判断が難しくなります。私なら、流行地域での発熱に、風邪っぽさ以外の症状が重なった時点で、早めに相談するくらいで考えます。

渡航先でどの感染症に注意したいかは、出発前に確認しておくと迷いにくいです。
国や地域ごとの感染症危険情報は、外務省の海外安全ホームページで確認できます。
あわせて、感染症の内容や渡航先ごとの情報は、FORTH の「海外渡航者向け」や「国・地域別情報が見やすいです。

※感染症危険情報や渡航先情報は変わることがあるため、出発前に最新確認が必要です。


受診で伝えたいこと

海外でも日本に帰ってからでも、受診するときは次の内容があると話が早くなります。

  • いつから熱があるか
  • 最高体温はどれくらいか
  • 発熱、解熱の変化のしかた
  • ほかにどんな症状があるか
  • 行った国や地域
  • いつ帰国したか、またはいつから滞在しているか
  • 虫に刺されたか
  • 生水や生ものを口にしたか
  • 持病や服薬中の薬

自分では些細に思っても、診断の手がかりになることがあります。受診前にメモしておくと、かなり伝えやすくなります。

FORTH には、旅行後診察用 医療機関受診前のチェックリストがあります。旅行先、旅行期間、現在の体調、虫刺され、食事や水、現地での治療歴などを整理できる内容なので、必要な方にはかなり実用的です。


まとめ

海外旅行中に熱が出たときは、体温だけで判断するより、

  • 水分がとれるか
  • 食べられるか
  • 動けるか
  • 意識がはっきりしているか
  • 危ないサインがないか
  • このまま旅行を続けられそうか

を一緒に見ると、受診の目安がつかみやすくなります。

とくに、流行地域での発熱、発熱に発疹や強い頭痛、強いだるさ、出血が重なるときは、長く様子を見すぎないほうがよいです。

旅先では、「せっかく来たから」と無理をしたくなりがちだと思います。でも、早めに相談したほうが結果的によい場合も多いです。迷うときは無理に見極めようとせず、受診する方向で考えると安心です。


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ほかのテーマもあわせて見たい方は、[シリーズ一覧ページ] から読めます。


参考情報

・外務省 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/

・厚生労働省検疫所「FORTH(海外で健康に過ごすために)」
https://www.forth.go.jp/index.html

・FORTH 旅行後診察用 医療機関受診前のチェックリスト
https://www.forth.go.jp/useful/attention/pdf/29.pdf

ボンディオラ


調剤薬局の薬剤師として働きながら、一人旅を中心に80か国ほどを訪れてきました。

このブログでは、旅の楽しさだけでなく、体調、準備、不安、旅先での気持ちの揺れについても、旅する薬剤師の視点からやわらかく書いています。

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